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017:鶏から人への大きな便り  
     第九回『鶏フン処理 手探りではトラブルのもと』  


  *本コラムは、雑誌「鶏卵肉情報」にて2006年7月~2007年7月までの毎月連載された
   同名コラム(執筆は当社農業環境研究所長 本間光義)を加筆、修正したものです。


今回からは、鶏フン処理の各工程について、そこで基本となる数字をあわせながら書いていきたいと思います。もちろん生フンの状態、施設や設備、自然環境条件や求められる(作りたい)堆肥などは各農場で異なります。あくまでも一般的、基本的な工程、数字として参考にしてください。
工程には、①調合、混合する「前処理工程」②菌を立ち上げる「初期発酵工程」③機械的に(高速発酵と呼ばれる)行う「攪拌発酵工程」④菌の増殖を行う「堆積発酵工程」の四工程として説明させていただきます。

まずは「前処理工程」です。これは仕込み工程ともいいます。この工程は、鶏舎から搬送されてくる生鶏フンを発酵しやすい状態にするための工程です。これをしっかり行えるかどうかで、この後の工程に大きく影響を与える非常に大切な工程です。
ここでの最初のポイントは水分調整です。これからの冬季間、寒さの厳しい地域では仕込み完了時の含水率を55%以下(50~55%)になるように計算します。次の初期発酵工程における菌の立ち上がりスピードに差が出るからです。菌の立ち上がりにダラダラと(48時間~72時間以上)時間をかけてしまうと悪臭発生のもとを作っているようなものです。短時間に素早く菌を立ち上げる為には含水率は50~55%がよいでしょう。もう一つの理由は、次の初期発酵工程で(最高温度が70~80℃程度になった時に)炭酸ガスと水に分解され、含水率が6~8%程度高くなることです。例えば含水率を55%で仕込んでいた場合には61~63%程度まで上昇します。この状態でさらに外気温が下がってくると、発酵ヤードで堆積している間に表面が結露し、この影響でさらに含水率が上昇、68%以上になってしまう時もあります。寒さの厳しい地域では冬季間に含水率が68%を超えてしまうと発酵は止まってしまいます。初期発酵をダラダラと行っていると結露状態がひどくなり、ますます発酵しにくくなってしまうのです。特に冬は、素早く菌を立ち上げる条件作りが重要なのです。

次のポイントは酸素です。前処理工程は調合、混合の作業ですのでブロワなどは使用せず、酸素のことは気にしていないという方が少なくありません。しかし、そこに落とし穴があります。それは、混合する際にはほとんどの農場でローダーを使用して作業を行っていますが、この作業方法が問題となるのです。オペレーター(運転手)の方のローダー操作の仕方が要因です。やさしく丁寧に操作する方、時間が少ないといってガンガンと作業する方、なかなか文章では伝えにくいことなのですが「オペレーターが変わると発酵が変わる」というくらい菌は正直に反応します。混合作業は、粘性を出さないように(丁寧にと思い、混合をやりすぎても粘性が出てしまいます)、初期発酵ヤードに堆積させる際も神経を使い、酸欠を起こさないように気を配って行う必要があります。

調合割合については、戻し堆肥を使用する方法でお話しします。戻し堆肥100%で水分調整を行っている農場(乾プンと呼んでいるところもある)は多いのですが、水分調整のことだけを考えて調合割合を決めてしまっている農場が大半です。乾燥させるということだけで、分解菌のことは頭の中に入っていないようです。乾いていればなんでも良いというものではありません。せっかく戻しとして使用するのですから、分解菌をしっかり増殖させたものを戻したいのです。乾プンの含水率が30%以下ではほとんど菌の増殖は出来ない状態です。そのような乾プンを戻してはいては、鶏の腸内細菌だけで酸化させることになります。これでは厳しい自然環境にさらされたときに活発な活動が出来ません。つまり、戻し堆肥は水分調整というだけではなく、戻し菌床として考え方を改め、菌がしっかり増殖したものを戻して調合を行っていただきたいのです。
繰り返しますが「前処理工程」は、菌が発行しやすい条件を整えるものです。これをしっかり行わなければ、この後の工程も期待した成果が出ることはありません。

環境事業部 農業環境研究所 所長 本間光義




 
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