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018:鶏から人への大きな便り  
     第十回『菌の立ち上がり時間が勝負』  


  *本コラムは、雑誌「鶏卵肉情報」にて2006年7月~2007年7月までの毎月連載された
   同名コラム(執筆は当社農業環境研究所長 本間光義)を加筆、修正したものです。


前回の前処理工程において書き残したことがあります。それは、水分調整、混合割合、混合方法、堆積高と菌の立ち上がり時間の関係です。これらの項目がバラバラの状態では鶏フン処理の主役である微生物が活発に活動することは出来ません。発酵に携わる微生物は、まがままでも気まぐれでもなく、条件さえきちんと整えて上げれば自ら活発に活動するものです。初期発酵の準備、前処理をきっちりと行わなければ農場の環境問題にまで影響してしまいます。調合、混合、堆積などの各作業が重要と認識していただきたいものです。

さて、初期発酵の話に入ります。「初期発酵工程」を行っている農場とそうでない農場とがあるとは思いますが、この工程は前処理したものをヤードに運び、堆積させて菌を立ち上げるものです。
この作業のポイントは、混合含水率にあわせて堆積高を決めることです。
私は現在、青森県にある採卵鶏の養鶏場でこのコラムを書いています。この農場も冬季間の寒さが厳しく、この間の発酵に関して農場の方々が大変苦労していました。調合割合はしっかりと計算して行い、やさしく、丁寧に混合する。この後に初期発酵ヤードに持っていき、堆積する。基本どおりに含水率と堆積高を計算しますが、寒さが厳しい地域ではこの計算だけでは実際の現場での結果に違いがあることを皆さんもご存知のことと思います。例えば条件として、外気温は氷点下、含水率58~60%程度の場合、堆積高は約105cm程度となりますが、調合した戻し乾プンの形状が粉状と粒状の場合では、菌の立ち上がり時間が異なってきます。
当然、粒状の方が早く立ち上がります。また、堆積高と送風量も考えの中に入れなければなりません。この送風量も冬と夏は違います。冬季間の場合と粉状乾プンを利用している農場は毎分280ℓ~320ℓの送風を計算の中に入れ、堆積荷重は650kg/㎡程度、700kgでは難しい場面も生ずるときがありますので注意してください。夏季と冬季での堆積高の違い、これを考えて作業を行うと菌の立ち上がり時間が全く違います。
基本的には仕込んだ翌朝に発酵熱が70~80℃まで上昇すればよいのですが、これに2日も3日もかかってしまうようでは未発酵の方向に進んでいると判断しなければなりません。このような状況では、強烈な発酵臭(悪臭)が発生してしまい、農場全体の環境問題に発展しかねないのです。
菌が立ち上がると有機物(生鶏フン)は微生物の活動によって炭酸ガスと水に分解されます。
発酵段階で水が発生することは予測できるのですから、その点も含めて水分調整することが大事なのです。
例えば、冬季間に仕込み含水率を55%とした場合、発酵熱が70~80℃になると先程説明した水の部分が増えることになります。7%くらい含水率が上昇するとトータルで62%。これに結露分10%程度を含めると含水率は72%にもなり、72%になってしまうと発酵は止まります。結露状態は堆積している表面の5cm~7cmあたりで発生します。この部分がフタのような状態となり、ますます水分が外に抜けられない状態となるわけです。
普通、発酵熱が70~80℃出ると5日~7日程度はそれが続くものです。もし皆さんの農場で、70~80℃で発酵しているが2日くらい経つと温度が下がっているという場合は、結露による含水率を原因として疑ってください。
純粋な生鶏フンだけで発酵させ、堆肥をつくり、それを戻し乾プンとして利用している場合、鶏の体温が40℃前後ですので、初期発酵の菌の立ち上がりが遅く、低温(40~50℃)では鶏の体温と同じような状態であり、酸化細菌の働きが不活発となって腐敗の方向に進む可能性が最も高くなります。このように菌の立上げ作業は非常に重要です。菌の立ち上がり時間が勝負となるのです。
仕込み作業から初期発酵作業、全ての作業が連動しています。初期発酵工程をしっかり行えば、次の攪拌発酵工程に入ったときにスムーズに発酵できます。攪拌発酵工程のことを考えて初期発酵工程をしっかり行うと良いでしょう。

環境事業部 農業環境研究所 所長 本間光義




 
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