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019:鶏から人への大きな便り  
     第十一回『高速発酵させる条件作り』  


  *本コラムは、雑誌「鶏卵肉情報」にて2006年7月~2007年7月までの毎月連載された
   同名コラム(執筆は当社農業環境研究所長 本間光義)を加筆、修正したものです。


今回は攪拌発酵工程の話をしますが、密閉式発酵においても準備作業に対する考え方は同じです。どちらの方式でも発酵槽または密閉装置に投入してしまうと補正できない、または補正しにくいという条件下におかれるため、攪拌発酵装置、密閉式発酵装置の特徴をしっかりと理解しておくことが担当者の大事な仕事となります。
各農場でシステムの違いはありますが、初期発酵を実施している攪拌発酵工程のポイントは以下の通りです。 ひとつめは、初期発酵が嫌気性菌と好気性菌により時間をかけ、ゆっくり発酵させているのに比べ、攪拌発酵はその5倍~6倍の酸素量とし初期発酵の時とは少し違う菌を活発に活動させるものであること。人間の世界における流れ作業のようなものです。この攪拌発酵の特徴は、絶対好気性微生物が活発に活動するということなのです。初期発酵と攪拌発酵とでは、その工程で活動する微生物が違うので整える条件も違う。そして、微生物が違うと分解のスピードが違い、当然分解率も異なります。
二つめは、例えば初期発酵の分解率が30%~35%つまり50㎥の生鶏糞が33㎥~35㎥になっているのに対して、攪拌発酵では8%~15%程度(機械により大きな差がある)であるということです。これは乾物で調べると乾燥機のようになっており、本来の機能を発揮できていない状態であることが多いのです。これは各農場の除糞担当者の方々は分かっていることと思います。しかし、毎日生鶏糞を大量に受け入れなければならないため、作業に余裕がないという現実があるのではないでしょうか。 三つめは、攪拌機械・装置に負荷のかからない投入量と品質を確保することです。槽内では絶対好気性微生物に変化しようとしておりますが、投入口から8m~10m付近までは初期発酵で活躍していた微生物がまだ動いています。そこから先は、嫌気性側の微生物が休眠状態となっていき、絶対好気性微生物の世界となります。絶対好気性微生物は(鶏糞処理の中では)含水率がポイントであり、これが65%以上となると活動しにくい条件となります。したがって、冬季で50%~52%、夏季で54%~57%位が良いと考えられます。また、冬季間においては攪拌機械が停止している間の結露に十分気をつけることが必要です。発酵槽内でコネル様な感覚のあるときには投入含水率を改めて調整するか発酵槽内の発酵熱をもう少し上昇させてやるかの対策が必要となります。 寒さの厳しい地域では、冬季対策を10月の上旬頃から行わなければなりません。各農場の除糞担当者は年間の作業マニュアルと毎日の作業マニュアル、それに各機械のチェックシート、作業チェックシート、微生物のチェックシートなどを作成し、トラブルの際には敏速に行動、対応しなければなりません。例えば、機械の音、電流値(アンペアメーター)、刃へのこびり付きなど日常の機械が教えてくれる槽内の状況をしっかりとチェックして微生物の活動条件を最優先に考えて行うことが重要です。 チェックポイントは投入口から5mピッチに高さ、含水率、温度、臭気などを最低週に一度は記録・確認することが機械の保守にもつながることでしょう。 また、次の工程で再び発酵させるために「この品質でよいか」「含水率は良いか」「形状はこれでよいか」「色はこれでよいか」を確認し、稼働時間または回転回数などをコントロールすることも必要です。ちなみにこの工程において、アミン類・強烈なアンモニアなどの臭気を感じる場合は初期発酵工程または仕込み工程に問題がありますのでそれぞれの工程を再確認してください。臭気は発酵が進むにつれて臭いの種類が変わります。鶏糞の場合、新鮮な生糞には臭気は比較的少ないものです。発酵槽は比較的滞留する立米数が多いので一度トラブルが発生し、その対応が遅れてしまうと最悪の場合すべて引き抜かなければならない事態にまでなります。日常のチェックが重要であります。

環境事業部 農業環境研究所 所長 本間光義




 
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