家畜糞尿処理、家畜排泄物処理装置の設計、施工、家畜糞尿処理、家畜排泄物処理のコンサルティング、
循環式鶏糞処理システム、微生物資材、土壌改良資材、特殊肥料の製造、販売、農業塾、土作り

021:鶏から人への大きな便り  
     第十三回『鶏フン堆肥で畑が変わった』  


  *本コラムは、雑誌「鶏卵肉情報」にて2006年7月~2007年7月までの毎月連載された
   同名コラム(執筆は当社農業環境研究所長 本間光義)を加筆、修正したものです。


岩手山の麓で小規模な農業をやっている。「父つぁん、俺の作った堆肥を使ってみねぇか」と今から三年ほど前に軽トラックに積んで持っていった。「どうせその辺のどこにでもある堆肥だべ」と投げやりな言葉、「まぁ、せっかく持ってきたんだべ、その辺にでも置いでげ」。私の作った堆肥に全く興味を示さなかった。その父つぁんは葉菜類、根菜類を作り、産直と農協へ出荷している。「俺は百姓以外は何も知らねぇ、知る必要もねぇ」という‘頑固親父’を絵に書いたような72歳である。
この父つぁんの堆肥の使い方は、施設栽培で行っている‘雨よけホウレンソウ’60坪ハウス8棟で秋の収穫が終了すると近くの養豚場から糞尿混合のスラリーをバキュームで1棟あたり4t車2台分を散布する。2~3日すると表面が乾燥してくる。触っても手につかなくなったらトラクタで耕起するが、その時の深さは6cm~9cm(2寸~3寸)で耕起する。これは土に対して「ひと夏ご苦労様」のお礼の肥料、いわば礼肥である。父つぁんに言わせれば「特別な刺身のようなものだ」と語る。
春にはある程度熟した堆肥を1棟あたり1.8t入れる。あとは化学的な肥料は入れずに播種する。化学肥料は使わないので病気らしい病気はほとんどない。そして、そのハウスの土は杭をさすと60cm以上もささる。つまり10aあたり600t(比重を1として)の耕作土である。一般農家では15cm程度、約150t~180tの耕作土である。150tの耕作土の養分量と600tの養分量とを比べると言わずとも理解できる。「土は人が作るものではない。微生物が作るものだ!!」と父つぁんは語る。このような頑固父つぁんに私の作った堆肥を使ってもらいその答えを聞きたかった。
今年で三年目、父つぁんは「おめぇの作った堆肥なぁ、いいかもしれねぇど」とボソッと言ってくれた。「土が変わってきた」「本物の土が作れるぞ」と言葉少ない父つぁんだが「本物の土から本物が穫れる、土と同じ性格のものが穫れるんだ」「この堆肥どうやって作った」と聞かれた私は養鶏場へ行き環境問題、特に臭気対策や減容などを目標とした鶏糞処理システムの技術指導を行っていること、その農場で「完成した堆肥の中の菌をさらに増殖させ、それを水分調整材と戻し菌床として循環させることで、生フンの中に菌を入れるのではなく菌の中に生フンを入れる方法をとったのさぁ」、当然無機塩類の集積も気になるところだったが「父つぁんの施設栽培で問題がないということはこの堆肥は施設栽培で十分使えるなぁ」と話したら「合格!!」という言葉が返ってきました。

全てが循環しなければ不具合が生じます。これが農業という場面で生じると我々人間に不具合が生じる。我々が生きるための大事な食を作っている農家の方々、そこで食べ物を作っているのが「土」、「土」を作ることが出来るのが皆さんの作っている堆肥なのです。このように全てが循環している中、どこかの場面で不具合が生ずると必ず我々人間に答えが出てしまうです。このように考えると除フン担当者の方々の責任は、非常に重く感じられると思います。
全国の養鶏場の堆肥づくりが変わると作物生産農家(耕種農家)さんの農業経営も変化してきます。そのことで担い手の問題も解決の方向に向かう。高品質、多収穫、そして我々人間の健康を維持することが可能になる。堆肥づくりを担当されている皆さん、養鶏場の経営者の皆さん、もう一度真剣にこのことを考えてください。

約一年にわたり微生物の視点から鶏糞処理における環境問題、循環型農業に関する話を紹介させていただきました。今、疲弊してしまった土壌を何とかしてかつての肥沃な大地に蘇らせ、それを子や孫たちに伝え残したい。これからも『健土・健食・健民』をテーマに活動してまいります。 今回で「鶏から人への大きな便り」の連載を終了させていただきます。ありがとうございました。

環境事業部 農業環境研究所 所長 本間光義




 
Copyright 2006,東日本機電開発株式会社. All Rights Reserved